‐世界‐

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アイカは目線を外から反らして俺を見つめた。 「ねぇリツ君、きみは何が望みでこの“世界”へ来たの?」 “世界”…、まただ。 アイカを襲おうとしていたさっきの男、 そしてこのアイカが言う世界ってなんだよ。 「あのさ!よくわかんねんだけど。 戦うとか消えちゃうとかアイカが言うその事だとか…。」 「…え?」 アイカは俺と同じ様に疑問する顔をした。 「意味わかんねぇよ、 まるでゲームやマンガの中の話だ…。」 「リツ君…もしかして説明書、 読まなかったの?」 「説明書…?」 床に座る俺の横には、 THE GAMEの箱と取り扱い説明書が転がっている。 これの事を言ってるのか? 「GAMEを始める前に読む事が約束なんだよ?」 ――っえ! 一瞬俺はなにかを悟ったけど、 ゾッと鳥肌が立ってまたすぐ混乱して忘れてしまった。 机に置かれたままのGS、 画面には何も映ってはいない。 冷静になるにつれて寒気が増して、 鳥肌がまたさらに際立つ。 「これって、ゲームの…?」 「そう、 ここは“GAMEの世界”だよ。」 …俺は、THE GAMEを始めてすぐに気絶した。 そして気がつくと、 いつもと変わらないこの場所にいたんだ…。 違う世界の、この場所に…。    
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