‐バトル‐

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ガタガタと震える身体、 荒くなった息も震えている気がした。 「リツ君、お願い! “GAMEの参加者”なら戦ってよ…!」 こんなはずじゃない。 たしかにこの夏休み…、 グダグダ過ごす変わらない毎日に嫌気がさしていた。 でも、 ここまでの事を望んでいたはずじゃあなかったんだ。 これは、 ゲームの中…? それとも夢の中なのか? 「邪魔ものはもういないぞぉ。」 男の耳障りな荒い息。 「イヤ、イヤーー!!」 アイカの叫び声が頭の中に響く。 何を決心したのかは分からなかったけど、 身体からの震えはいつしかなくなっていた。 「こんのやろぉぉーーッ!!」 一瞬の振り向き様、 手に持っていた刀を下の玄関先からベランダにいる男めがけて思いっきり投げつけた。 …ッドス! 投げてそれから、 顔を上げたその先で男の胸部に刀が突き刺さるのを目撃した。 「うぅげぇ…っ!」 男がその場で崩れる様に倒れていく。 「わ…うわ、うわ…っ!」 恐さのあまりにすぐ顔を背けたが今の光景が焼き付いていて、 目をつぶっても効果はなかった。 また震えがぶり返す。 やっちまった…。 あの人、殺しちゃった…。 「リツ君! ちゃんと見るのよ!」 「…え?」    
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