11人が本棚に入れています
本棚に追加
もういちど顔を上げる。
すると、想像もしなかった光景がそこにあった。
胸に刀を刺したまま目をつぶる男が、
ゆっくりと宙に浮いていく様子。
瞬間、その男が音のない花火のように弾けて、
パラパラと光の花びらが散っていく。
俺はそれをボケッと眺めた。
綺麗だったけど、
寂しくて恐ろしい気持ちにもなった。
「怖がらないで、これはGAMEだよ。今の人はゲームオーバーになっただけだから。」
アイカも外に出てきて、
俺のと思われる刀を手渡した。
さっきまでのアイカとは違い、
落ち着いた表情になっているのが分かる。
一件落着ってとこなのかな。
「それなら、生きてるんだろ?」
そんな当たり前な言葉を口にした。
これはゲームだ、
もちろん分かってるつもり…。
ただ現実に起こった事と一切変わりなく見えて、
不安になったんだと思う。
「うん。…だけど、この世界には戻ってはこれないよ。」
「…そっか。」
最初のコメントを投稿しよう!