‐はじまり‐

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「さてと、俺帰るよ。」 シンが立ち上がる。 「まだ昼過ぎだぞ?はやくねえか?」 反対にユウマは、 ドカッと座り込んでGSの電源をつけた。 「明日早いんだ。仕度仕度。じゃあな!」 「そっか、…あ! デカ塩チョコよろしくなぁ!あとシンのばあちゃんにも!」 階段を下ってくシンに大声で伝えるユウマ。 「はーいはい。おじゃましましたぁ。」 シンは気の抜けた返事をして帰っていった。 ユウマがいつものソファの居場所に落ち着いてゲームを開始する。 「リツ!バトんねぇ? 良いコンボ思いついたんだ!」 「そう言って何度負けてきたか…。」 「そうゆうのは勝ってから言え!アイス賭けてやろうぜ!」 「じゃあスイカバーな!!」 俺とユウマが対戦ゲームを始める。 シンとは違って熱血漢なタイプだけど、 俺らのムードメーカーで誰よりも友達思いのお人好しバカ。 …バカは余計か。 でも俺は、 ユウマのそんなとこが好きだ。 ただ頭を使うことだけは苦手みたいだけど。 「リツ、“THE GAME”って格ゲーかなロープレかな?」 「んーわかんね…ッシャ!もらったぁ!!」 「うわッそりゃねぇだろー…。」 「さぁ、行ってこい!」 「ちぇ。」 他愛もないことで笑い、 繰り返しの毎日を過ごす。 そんな俺たちにとってゲームというのは、 簡単に適度な刺激を与えてくれる唯一のものなんだ。 夜遅くになってから、 ユウマは帰宅していった。 それからその日の内に親に頼み込んで前借りした小遣い=ゲーム代! “THE GAME” こんなに内容と詳細を表には出さないんだから、 期待できるけど…。 ハズレだったらイヤだなぁ。 明日はそれの発売日。 今日はもう寝ておこう。    
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