‐はじまり‐

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「行ってきまぁす!」 近所の小さなGAME SHOPへ向かうと長蛇の列。 まだ開店の朝10時を過ぎたところだというのにこの行列…、 正直驚いた。 予想していたよりも売れ行きは好調なようで、 次々と列は延長していく。 ざっと見たところ50人以上は並んでいるようだ。 俺は急いでその並びに付く、 このペースだと一時間ほどの覚悟は必要に思える。 店が開いてから十数分でこの勢いか、 “THE GAME”への期待感がさらに増してきた! 「お、リツ! やっぱり来てたんだね!」 「え?…おお!」 俺の側に近寄ってきたのはクラスメイトのアヤだった。 「結構遅いんじゃない? みんな7時くらいから並び始めてたんだよ! ユウマも並んでたし!」 こいつもユウマも…、 ゲームの為によくそんな早くに起きれるな。 「アヤ、それって…。」 俺の目線の先はアヤの持つものに集中した。 「あ、これ?えへへ!もう手に入れたんだぁ!」 俺の周りで並んでいる奴らも同様に視線を移す。 そして、小さくざわめく。 気になってしょうがないって感じが伝わる。 「ちょ、見せて!どんななの?」 俺も少し熱が上がる。 早く見てみたい、…はやく! そんな気持ちが募る。 「ダーメ!取説見てから箱を開けろって書いてあるんだもん。 お店の人にも言われたしさ。 分かんないけど、 それが決まりみたいだよ? じゃ、アタシはやく始めたいからさ!バイバイ!」 はあ?取説見てからが決まりってなんだそりゃ。 …やっぱ普通じゃないんだ! はやく、…見てみたい! アヤ達は何時から並んだんだ? アイツ同様、手にいれた人は足早に散っていく。 それから数十分も経つのに、 アヤの言っていた説明があるせいか一向に順番が近づく気配がない。 こりゃ在庫が無くなるんじゃあ…。 と、気にかけたその時だった。 「えー、まことに申し訳ございません! 在庫が残り僅かとなりました!」 「な、なにぃっ!?」    
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