紅の海

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「さて俺は先に部室の鍵を職員室に預けてくるけど待っててくれる?」 「…うん」  木田君は返事を聞くと直ぐに走っていった。後ろ姿を呆然と眺めつつ夢でないかと頬をつねる。 「痛い…」  夢じゃないらしい、でも何で?と言う疑問が浮かんで来る。どうしようもない位に頭は混乱するだけで立ち尽くす。  悩んで悩んでも答えは出てこない。呆然と考えてると木田君は戻ってきた。 「お待たせ。さぁ帰ろうか」 「うん」 「三嶋さん冗談?」 「え?冗談?」 「ほら靴じゃなくて上履きだょ」  そう言いながら木田君は笑っていた。もう恥ずかしくて逃げ出したい気分だった。
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