憂鬱なバレンタイン

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そんな風にイライラしていると、バレンタイン当日になっていた。 いろいろな女の子がチョコレートをくれるけど、僕が一番欲しいチョコではなく、虚ろな気持ちを隠しながら笑顔で受け取っていた。 人影がまばらな放課後、先輩を探しながら校門に向かっていると、肩をとんとんと優しく叩く気配がした。 今度は誰だ?と思いながら笑顔を作って振り向くと、そこには嬉しそうに先輩が僕に向かってチョコを差し出して笑っていた。  「帰っちゃったかと思ったよ。ずっと翔太くんを探していたんだよ。」 「ぼ、僕だって、ずっと先輩の事を探していたんだからね!」嬉しさのあまり涙ぐみながら、僕は先輩からチョコを受け取った。 「先輩、最近冷たかったし」 「冷たくなんてないよ。翔太くんにあげるチョコの為に、臨時アルバイトをやっていたのに…。」不服そうな表情で先輩が言う。 このチョコレートの為にバイトって…。 僕は飛び上がりたい気分になり、自然と先輩の腕を掴んでいた。 「どんなバイトしてたの?今からゆっくりお茶しながら教えてよ!」 「そうだね。それじゃ、久しぶりにあそこの喫茶店に行こうか」 先輩の返事を聞くと、僕はそのまま腕を取りながら喫茶店に向かった。
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