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――――――1999年6月20日――――――
全て闇に包まれた世界。
まるで洞窟のようなそこに、足音が響き渡る。
「―――暗いな」と懐から蝋を取り出し手を触れる。
すると左手に持った一本の蝋が、怪しく辺りを照らし始めた。
その光を近くにあった蝋へ移動させると、次々と導かれるように火が灯っていき、綺麗な一本の道を象った。
「なんだ、お前か」と蝋の道の先には、車イスに座った女性がいた。
黒いコートを着たその女性は、部屋に入ってきた人物に顔を向け、懐かしむように微笑んだ。
その顔はやや、やせ形で左目に包帯を巻き、髪は黒く長い。
そして何より特徴的だったのが、両足が無かったことだ。
「久しぶりですね、麗彌さん」と俺は微笑み、友人との挨拶をかわした。
車イスに座った人物の名前は有藤麗彌(ありとう らいや)
彼女は千里眼の使い手だが、滅多に人と会わないのであまり有名ではない。
むしろ、過去の人という枠に入るだろう。
「お前が来ると言うことはまた厄介事だろ?」と面倒くさそうに睨んだ麗彌は、ゆっくりと近づいてきた。
「そんなことないですよ」と全否定するものの、麗彌さんは俺の右肩にある物を睨んでいた。
「…死体か?」
「残念ながらまだ生きてますよ。というより、生きてる方が不思議なんですけどね」と近くにあったベットにそれを寝かした。
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