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麗彌はそれに手を置くと、包帯を取り、左目を解放した。
その左目は正常ではなく、黒く濁り、中心は赤く透き通ったルビーのような瞳だった。
「――これは!」
「おかしいでしょ?心臓、肺、頸動脈。全てを斬り裂いたんですけど、これ死んでないんですよ」
「それは、当たり前だ!人間じゃないからな」と麗彌は包帯を巻き直し、左目を封印した。
「人間じゃない?まぁ、確かに人間ぽく無かったんですけどね」と左手を見せた。
「…殺られたのか?」と麗彌は鋭い目付きで睨んできた。
「スペアを持っていて正解でしたよ。ただ破壊されただけなら、俺でも直せるんですけど、神経ごと持ってかれちゃいましたから」と左肩を押さえ、間接を外した。
―――慣れないな
と思いつつも、スペアのままでは不便なので、変えるしかない。
「変えありますか?」
「最近は客がいなかったからな、一日ほど待ってくれれば新しいのを作ってやるよ」と近くにあった引き出しから、粉を取り出した。
「なんですか、それ?」
「麻痺薬さ。真祖に聞くかどうかは知らんが、いつ目覚めるかわからんからな。安全のために保険をかけておくのさ」と粉に手を触れた。
すると霧状にそれを包み込むように、ゆっくりと落下した。
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