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なんか効いてるみたいだな…顔つきも穏やかになってきてるし。
―――ん?
「あの~聞いていいですか?」とだんだん嫌な考えが頭を駆け回り始めた。
「なんだ?」と麗彌さんは残った麻痺薬を引き出しに閉まった。
「真祖って、“あの”真祖ですよね?」
麗彌さんはキョトンとした顔で口を開いた。
「当たり前だ。そいつは不死の怪物。吸血鬼だよ」
一瞬で手に魔力を込める。
―――どこの魔術回路を使用するかなんて関係ない!とにかく放出しろ!
まるで雷に打たれたように頭から一気に全身を魔力が覆いつくす。
「麗彌さん離れて!」
右手の先から魔力を一気に放出し、一本の刃をイメージする。
すると、黄金色に輝く光が手を包み、研ぎ澄まされた光の刃に変わった。
――ちっ!間に合え。
光輝く手刀がそれの胸を穿とうと直進した。
――その時だった。
まるで、津波のようにこの部屋の空気を一瞬にして飲み込んだそれは、片手を突き出し光を一瞬にしてかき消した。
「目覚めたとたんにいきなり戦闘とは―――ついてるわね!」とそれは何事もなかったかのように、手を掴み投げ捨てた。
「くっ!――危なかった」
壁への激突は避けたが、どうやら今度は右手を持っていかれたらしい。
どの指を動かしているのか全く把握できない。
「ほう?片手でお前を吹き飛ばすやつがいるとはな」と麗彌さんは楽しそうにお茶を飲みながら観戦していた。
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