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「笑ってないで手伝ってくださいよ。左腕無いから、遅延魔術も使えないんですよ!」
「別にいいじゃないか。お前は魔法使いなんだからな。右手でも殺れるだろ?」とついに煎餅まで取り出し始めた麗彌さんは、完全にまったりモードだ。
―――婆さんだよ、ありゃ。
「なんか言ったか?」
「いや、何でもないですよ」と笑ったが、目の前の吸血鬼は、全く空気を読まずに、突っ込んできた。
「ちょっとは空気読めっての!」と右足で蹴り込んだが、見事に捕まれた。
「残念。外れよ」と右足の感覚が奪われ始めていく。
「こりゃ普通にヤバイな」と右手で急いで魔力を暴発させた。
全身に火傷を負うことにはなるが、神経を持っていかれるよりはマシだ。
見事に両者は爆風に巻き込まれ、壁に激突した。
「―――くっ!…やっぱこたえてないか」と一瞬意識がもうろうとしたが、目の前の吸血鬼は未だにピンピンしていた。
「やっぱり、私の目に狂いはなかったわね」と嬉しそうに、吸血鬼はまた突っ込んで来た。
―――そして
鮮やかな鮮血を辺り一面にばらまいた。
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