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しかし吸血鬼は何事もなかったかのように笑った。
「―――あなたじゃ私は殺せないわ」と唸りをあげた拳が、アイシャの鳩尾を捕らえ、炸裂した。
その拳には自動で魔力かかっており、衝撃波を発生させ、まるでミサイルのようにアイシャを吹き飛ばした。
「ちっ!やはり吸血鬼に一体では足りなかったようだ」と麗彌さんはもう一方の腕を引き剥がした。
すると麗彌さんの真下から魔方陣が展開され、ゆっくりともう一体の少年が姿を表した。
「あ~面倒くせー!なんだよこの状況は?」
「見ての通りだよ。アイシャもそこの壁に埋まってる」と指差すと、瓦礫の下からアイシャが姿を表した。
「―――油断大敵。次は必ず仕留める」
「なんだよ、アイシャがいるならいいだろ?」
「相手は吸血鬼だ。アイシャだけでは苦労する」
「ちっ!面倒くせー。アイシャとっとと終わらせて飲むぞ」
「―――飲酒厳禁」と二人は同時に吸血鬼に飛びかかった。
「いいんだよ。成りはガキでも、年齢で言えば歴とした二十歳だからな」と少年は自分より遥かに長い槍で吸血鬼の急所を的確に突いていた。
「―――成人式出てない」とアイシャが槍の引いた瞬間のわずかな隙を押さえるように剣で切り込んだ。
「あのなぁ~人形が成人式なんか出れるわけないだろ!ましてこの成りで成人だって訴えるのも面倒くせぇ」
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