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一歳になった頃片言を喋るようになっていた。
だがその片言は普通とは違っていた。
例えばミルクを欲しい時。
「あぁ…チュッチュッ」
必ず二度繰り返して言う
そして抱っこして欲しい時も繰り返して言う。
「あぁ…抱いて」
抱っこして貰うまで言い続ける。
それは所構わず言ってくる。
これだけは人前で言われるとさすがに恥ずかしく目線が気になる。
娘は一歳になるとしっかり歩けるようになってきた。
「天気がいいで動物園に行くか」
旦那の提案で三人で動物園に行くことにした。
娘は動物園は始めてだ。
その日は気候がよく日曜日とあって園内は混雑していた。
娘が迷子にならないようベビ-カ-に乗せた。
だが暫くすると娘は嫌がりベビ-カ-から降りようとしたため歩かせることにした。
降ろした瞬間真っすぐに歩きだした。
「ちょっと…待ってよ」
後ろを一度も振り返らず人込みも気にせずひたすら真っすぐ歩いて行く。
私は旦那と追い掛けるのに必死だ。
少しでも目を反らすと見失うほどあの太く短い足は以外と早かった。
娘を捕まえ言った。
「象さん見ようか?!」
「嫌!!熊しゃん」
「象さん大きいよぉ。見てみやぁ」
目の前の象を指差して言った。
「嫌!嫌!熊しゃん」
「熊さんは象さん見てからね」
「嫌!熊しゃん」
そして私の手を振り切り熊とは全然逆方向へ勝手に歩きだした。
自分がこうと言ったらこうと融通が聞かない。
いつも断固として人の言うことは聞かない。
これはまさしく旦那譲りだ。
絶対似て欲しくなかった性格。
だが確かにこの娘に受け継がれている。
私はこの頃から娘の人格が気になるようになった。
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