飛べないドラゴン

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「うぷっ……あ……は…っ…」 フサフサの毛に染みた水が重みを増して水を掻く手をもたつかせる。比重も海水と違い重いため体が徐々に沈み始め、口に水が入ってきてとても息苦しかった 酸素が上手く取り込めず乳酸と二酸化炭素ばかりが体内に蓄積され意識がひどく低迷する。 「たすけ…う…おじいちゃ…」 流した涙が川に溶け込んでいき、ついに力尽きたようにテアは意識をとぎらせ深く川へと沈んでいってしまう もうだめかと思われたそのとき、遠方の上空。キラリと一瞬なにかが煌めいたと思った時には高速で赤い体皮を持ったそれなりに大きな体をもったドラゴンが姿を現わす。 なにをするのか、と思った刹那には川へと自ら入り込み、意識を失ったテアを引っ張りあげるとゆっくりと安全な地面へと降ろした 「…結構水を飲んじゃったみたいね…さて」 テアを助けた赤い体をしたドラゴンはさわさわとテアの体を確認するように触れていくとぷよぷよとした若干の腹の膨らみに気付いた。 そして誰に確認したのかは分からないが独りこくりと頷くと、ドラゴンらしい逞しい足を振り上げると仰向けになったテアの腹へとドスンと急降下させたのだった 「えいっ!」 「うぶっ゙っ゙!?」
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