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緩やかに進む閑かな白い雲とは違い照りつける太陽が僕の背中を焼き付ける。
そして毛皮ごしの地肌にヒリヒリとねちっこい痛みをすり付けてくる。ただ同時にすり抜ける風が心地よく熱い背中を冷ましてとにかく気持ちが良かった
「気持ちいい…」
僕は思ったことをそのまま口にしてしまっていた。だけど本当に気持ちがいい。
一人で飛んだらどんなに気持ちいいだろうか
思いに更け、そこまでたどりつくと僕は体を強ばらせてしまう。急に恐くなってしまった。身を震わせる
「そうねぇ…気持ちいいわねぇ…」
お姉さんが遅れて答えるが既に僕には答える気は無くなっていた。腰が抜けてしがみつくことしか出来ない。
恐怖
その一つの要素だけが僕をいくじなしにさせる
そんな自分に苛まされながら着々と空の旅はつづく
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