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「どうした、早くしろ!」
その内のこれまた大きなドラゴンが痺れを切らしたかのように小さなドラゴンに対し怒号を飛ばす。あまりの肺活量に小さなドラゴンから生え揃ったふさふさの毛皮が雄ドラゴンの怒号の衝撃で棚引く。
耳元で怒られ叫ばれて小さなドラゴンはより一層ビクリと身体を揺らし耳を両前脚で塞ぐとふるふると首を横に振った。その頑とした様子に雄ドラゴンも目元をひくひくと動かす
「他の奴らも待っているんだぞ!」
さぁ、ほら、と雄ドラゴンが小さなドラゴンの足を急かすように軽く押しやったが小さなドラゴンは頑なに拒否。後ろ足が押されあがるが逆立ちのような無理な体勢になっても前脚で必死で地面にへばりつき情けない自分と恐怖心から涙を一粒流した
その様子にさすがに雄ドラゴンは怯み、もういいと、諦めたように「戻れ」とため息と共に小さなドラゴンに、そう指示した
すると小さなドラゴンは途端に明るくなり落ち込む雄ドラゴン達の間を潜り抜け、自分と同じような大きさのドラゴン達がいる列に戻ろうとする
その時だった
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