朱色の櫛

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その夜は、食事を楽しめるような状況ではなかった。荒らされていたのは以前でもよくあったことであったが、盗難が起きたのはこれが初めてであった。閑静な中でジャックと関係者は食事をした。マイク警部は本部から呼び出しをくらったので一時署に戻ることとなった。食事の時は雑用係の3人も顔をだした。ミールさんはとても食事のできる様子ではなく、半分で食事を切り上げた。ジャックは食べ終わるとすぐに、部屋に戻ってマイク警部からの連絡をただひたすら待ち続けた。 数分後、マイク警部からの電話がかかってきた。 「もしもし、マイク警部ですか?」 「ああ、やっと捜査会議が終わったよ。少し長引いたかな。」 「いえ、構いません。それより、何か変わったこととかありませんでしたか?」 「ああ、盗まれた装飾品の被害総額は数百万だと。あと、侵入方法なんだが、やはり扉を開けて入ったという考えが今のところそうらしい。」 「いつ盗みに入ったんですか?」 「それが、娘さんが姿をくらました日の前日ということだ。」 「前日?ということは・・・・・」 「ああ。こっちは失踪したサリー・サドーが失踪するための支度金として、盗っていったと考えているんだが、俺にはどうも腑に落ちない。」
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