朱色の櫛

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「⁉⁉⁉⁉⁉⁉」 これはまさにジャックも飛び起きた。今の悲鳴はサドー夫人の声だった。ジャックはドアを開け、一階に向かった。途中で雑用係のマヌカ氏に会った。彼もまた呆気にとられた顔をしていた。 「一体、何があったのですか⁉」 「分かりません。トイレにいってたら、叫びが聞こえたんで、ビックリしてしまい・・・・・・・」 二人が駆け付けると、夫人のミールさんは腰を抜かして、壁に寄り掛かっていた。 「どうしましたか⁉」 「しゅ、主人が・・・・・・・」 そういってミールさんは目の前のドアを指差した。プレートには[洋服ダンス]と書いてあり、少しドアが開いていた。恐る恐るドアを開けて、ジャックは中の様子を調べた。中にはいくつもの大小あるタンスが並べられていた。ただ、その真ん中に不釣り合いな物があった。青白い顔をして横たわっているジョリー氏であった。 とりあえず、ミール夫人を別の部屋に移動させ、ジャックはマイク警部を呼んだ。マイク警部はすぐにかけつけて、二人で捜査を始めた。 「他の人達はどうします?」 「とりあえずリビングに移しておこう」 マイク警部がミール夫人をリビングに移し、全員を集めて事の次第を説明していた。
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