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(依頼人が来るのは久しぶりだ。)
ジャックはそう思っているだろう。夕方に、誰かがジャックの玄関のドアをノックした。ジャックは探偵を稼業としているのは確かだが、必ず呼ばれてから来る方が圧倒的に多かった。というのも、こんな変わったところに来る人が少ないという理由もある。従って、客が来るのは滅多にないことである。最初は郵便局の人が来たのかと思い、ドアを開けてみたところ、配達員の人はおらず、目の前に女性が立っていた。歳は40後半ぐらいだろうか、髪を茶色に染め、灰色の瞳をしている女性だった。
「あの、すみませんがジャック先生は御在宅でしょうか?」
「私がジャックですが・・・・・・・・・・」
「あ❗そうでしたか。ついお手伝いの方かと思って。」
ジャックにとってはちょっとショックだった。自分の名前が売れているかどうかをはっきりとさせる言い方であった。
「今日、ジャック先生に会いに来たのは他でもありません。実は先生にどうしてもお願いしてもらいたいことがあるのです。」
「要するに、探偵の依頼のことですか?」
「はい。警察では取り合ってもらえず、ここに来たのです。」
「わかりました。立ち話もなんですので、お入り下さい。」
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