第一章

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「ここは湖なんだ。」 夜空の星屑が小さな湖の水面にうつしだされていた。そして風が吹く度に水面に浮かぶ星達はゆらゆらと揺れ始め、私たちの心を誘った。 「綺麗だろ。ここは僕のお気に入りの場合なんだ。きっと僕しか知らない場合さ。小さい頃から何かあるとここに来てた。ここにくると心がリセットされるんだ。どんな嫌なことも忘れられる。」 彼は嬉しそうに話した。 そして彼は靴と靴下を脱ぎズボンを捲りあげると、湖の中へ入っていった。 両手を広げ、天に向かって大きく仰いだ。 「ここ宇宙みたいだろ。心が宇宙のように広くなるんだ。」 その光景はまるで限りなく広い宇宙に点在する星達のようだった。 「結ちゃんも来なよ。」 彼が大きく手を降った。 私も靴を脱ぎスカートを両手で持ち上げると湖の中へゆっくりとはいっていく。 ひんやり冷たい水は心地よさを感じさせた。 ゆっくり彼のもとへ向かった。 「すごい。」 まさしくそこは宇宙だった。私は無意識に両手を上げて深呼吸をした。 「気持ちいい。」 「良かった。気に入ってもらえて。」 彼は私の方をみて微笑んだ。 「でもどうして私にここを?」 私はふと気になった質問をした。その時は何も考えずに聞いてしまったが、言ったあとに私は気が付いた。気が付いたというより『まさか』というような期待の気持ちがあった。 「君が好きだから。」 彼は何も恥じることなく私の目を真っ直ぐにみつめ答えた。 その瞬間私の目からは涙が溢れた。その涙は水面にポツリと落ち、円形の波状が私たちを包んだ。 「私も好きです。」 私は彼の大きな体に包まれた。月明かりに照らされながら、無数の星達に祝福されながら。
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