第二章

4/9
前へ
/33ページ
次へ
ふと時計に目をやる、時間は七時三十分。すでに待ち合わせ時間から三十分遅刻している。私は少し苛立っていた。 改札からは人の波が押し寄せていた。電車が到着したのだろう。 私は好樹の姿を探した。 「あっ。好樹。」 好樹は背が高く一人頭が突き出ているので分かりやすかった。 「遅れてホントごめんな。」 「いいよ。喫茶店はいろ。」 顔をみると許してしまう私。あんなにも苛立っていたのに。 喫茶店に入ると好樹はいつものようにアイスココアを頼んだ。 「結はレモンティーでしょ?」 「うん。」 「じゃあ先に座ってていいよ。持っていくから。」 そういうと好樹は笑った。 いつも好樹は私を優先してくれていた。毎回優しくしてくれて、会う度に好きになっていく。嫌なことも全て許してしまう。 だけど今日は伝えたい。私の思いを。 「おまたせ。」 好樹は私の前に座ると、ガムシロップをレモンティーの中へ入れた。 「はい、できあがり。」 「ありがとう。」 好樹は微笑みココアをすすった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加