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そこの桜並木には数十本の桜の木がある。その全てに桜の花がついていた。
「綺麗。」
私は以前来た時を思い出した。
――‐…‥
好樹は舞い散る桜に飾られながら、両手を大きく広げた。
「別れは出会いの始まり。桜が咲く頃別れは始まり 散る頃出会いが始まる。不思議な花だな。」
それから私達は長い桜並木の道を手を繋いで歩いた。
無数に散る桜の花びらは私達を祝福してくれているかのようだった。
――‐‥…
「桜が咲く頃別れが始まる…。」
私は言葉を詰まらせた。別れが始まるとはどういことだろう。きっと好樹は深い意味でいったんじゃない。そう信じたかった。
すると不意に突風が吹いてきた。私は思わず顔をふさいだ。
桜の花びらが何枚か中を舞う。
ゆっくりと顔をあげると十メートル程先に、一人の男性が立っていた。
逆光でシルエットしか見えない。
背が高く、風に髪がなびいていた。
「好樹…。好樹なの?」
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