第三章

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そこの桜並木はすごい事になっていた。 無数に散る花びらはまるで雪のようにゆっくりと空中を漂い、落ちては波のように地面を滑り行く。桜吹雪と例えるのが一番いいだろうか。 「好樹。綺麗だよ。すごい。」 好樹をみると黒ぶちのメガネをかけていた。 事故の影響で視力が低下したと医者は言っていた気がする。 「あっ。」 私は思い出した。 以前ここに来たとき好樹が言っていた言葉を。 好樹はこの光景を見ていたんだ。自分だと知らずに涙を流していた好樹。 あの瞬間から好樹は既に私の近くにいたんだ。 全てがこの桜並木の道のように一本の線になった。 そして好樹は大きく両手を広げた。その光景はあの時に行った夜の湖と重なりあった。 何があろうと好樹は好樹なんだ。 この瞬間、私はずっと好樹の傍らに居続けようと決心した。 「好樹。これから頑張ろ。」 今度ははきっりと頬をつりあげ笑った。 桜の散る頃に私は再び好樹と出会った。前よりも愛の深みが増して。 ~END~
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