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「えへっ。トーストを食べる黄もカッコイイなーって」
また嬉しそうに笑う。
その笑顔を見る度に、俺は罪悪感でいっぱいになった。
ま、まぁ一ヶ月くらい付き合ったら、広瀬も冷めてくるかもしんないしな。
…今は、ちゃんと彼氏やってやんないと、可哀相だし…。
俺は、トーストの最後の一口を口に入れ、牛乳を飲み干した。
「ごちそーさま。ほら広瀬、行くぞ」
「うん!お母様、お邪魔しましたー!」
「はぁーい。気をつけるのよー」
部屋から鞄を持ってきて、玄関で靴を履き、外に出る。
すると、いきなり広瀬が腕にくっつきだした。
凄く歩きにくい。
「広瀬、待った!」
「何?」
広瀬を引っぺがし、手を握る。
幼稚園児がするような手の繋ぎ方だ。
広瀬は繋いだ手と、俺を交互に見つめていた。
少し顔が赤くなる。
「…その…あれだ。何事も順番が大切なんだぞ?広瀬がいきなりキスしたからちょっと順番が狂ったけど…まずはこれ!」
「…うん!」
…またそんな嬉しそうに笑って…。
俺達は、再び歩き出した。
広瀬はずっと顔がにやけたままだ。
俺から手を繋いだのが嬉しかったのかもしれない。
学園のアイドルがなぁ…。
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