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学校に着くと、物凄い視線を浴びた。
広瀬は気付いているのかいないのかわからないけど、ごく自然だ。
だが俺は、明らかに非難されている視線を、グサグサと突き刺されている。
な、何だよ、これ!
痛い痛い、視線が痛い!
「あれ?どしたの?汗かいてるよ?」
「別に…」
「あたしが拭いてあげる!」
と、広瀬がかわいらしいピンクのハンカチで、俺の頬を流れた冷や汗を拭ってくれた。
だがその瞬間、より一層憎悪の篭った視線が降り注ぐ。
うぎゃー!!
耐え切れなくて、俺は広瀬の手を掴んだ。
「広瀬のハンカチが汚れるから、もういいよ。サンキュ」
「黄…///
(優しい黄…素敵!)」
あー、手を掴むのも駄目っスか。
くそーっ。
嫉妬ってのは怖ぇなぁ。
靴箱を開いてみる。
すると、まるで漫画にでも出てきそうな、ずたぼろにされた上履きが、無惨に散乱していた。
…マジ。
靴箱を開いたまま固まる俺に、広瀬が首を傾げる。
「どうしたの?黄」
「あー何でも。昨日持って帰ってさ、持ってくんの忘れちまったよ」
素早く靴箱を閉める。
広瀬には見えてなかったみたいで、ホッと胸を撫で下ろした。
「俺職員室でスリッパ借りてくるから、先行っててよ」
「やだ!あたしも行く!」
俺は溜め息をついた。
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