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教室に入っても、視線が突き刺さってくる。
広瀬とは席が離れているので、やっと一旦離れられた。
来て早々ぐったりしている俺に、啓介から哀れみの視線が向けられる。
「お前大変だなぁ。まさかオッケー貰えるなんて思ってなかったんだよな」
「そりゃそーだよ。元々玉砕覚悟だったさ」
加藤に対して、だけどな。
広瀬のことは昨日初めて知ったんだから、あいつに対して悩んだことは一切無かったし。
まさかこんなことになるなんてなぁ…。
「うげっ!」
「こーおー。あたし黄が傍にいなくて、寂しかったぁ」
「ほんの数分だろうがっ」
後ろからのしかかる様に抱き着かれ、前のめりになる。
重いわけじゃないけど、いきなりやられるとちょっとなぁ。
広瀬は、俺の前席にいる啓介に気付いた。
「あ、美島くん、だったよね?」
「あれ?俺なんかのこと知っててくれたんだ?」
「うん。だっていっつも黄と一緒だったんだもん。あたし、キミ嫌い」
「「…へ?」」
思わず俺と啓介の声が重なった。
広瀬はその整った眉を寄せて、啓介を見る。
俺は抱き着かれているから表情は見えないが、何故かみんな顔を青ざめていた。
?
「何で啓介が嫌いなんだ?」
「だって、あたしの黄にずーっとべったりなんだもん!」
「そりゃ友達なんだから仕方ないだろ」
「むー…」
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