2.ここまで振り回されたのは初めてだ。

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  とりあえずなだめてみるが、啓介は額に血管を浮き上がらせて怒ったままだ。 広瀬はそんな啓介にもろともせず、睨み返す。 「男同士でも、恋愛するんだってこと!」 「「………………は?」」 思わず俺と啓介の声が重なる。 呆然と、俺達は広瀬を見つめるが、広瀬は至って真剣そうだ。 「エッチだってできるんだよ!?お尻の穴使って! だから、絶対黄はこいつにヤられてるってみんな言ってるんだから!」 「ブーーーっっっ!!」 「おわっ!」 啓介は飲もうとした牛乳吹き出した。 そのせいで、目の前にいる俺は牛乳塗れになる。 「うわっ何すんだよ汚ぇーなー!」 「ご、ごめ…うっ」 顔に付いた牛乳を拭いていると、急に啓介が前屈みになった。 俺は首を傾げる。 「(や、やべぇ…海内にそんなこと言われたら意識しちまって…牛乳が違うもんに見える…!! エロい!勃っちまった…!!)」 「どうしたんだよ、啓介。大丈夫か?」 「Σうごぉっ!」 俺は心配して、啓介の顔を覗き込む。 すると、啓介は急に顔を真っ赤にした。 「…と…トイレ行ってくる!」 「えっ?あ、おい!」 啓介は前屈みになったまま、教室を飛び出していった。 俺はその背を呆然と見送る。 広瀬は不機嫌そうに啓介が消えていった方を眺めていた。 「…最っ低…」 俺はその言葉の意味も、わからなかった。
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