2.ここまで振り回されたのは初めてだ。

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  啓介は、踊場の窓から外を眺めていた。 「(…言われてみれば、あいつのこといつも可愛いなーとか思ってたしなぁ…。 …やっべ。俺ホモ?) うがーっ!!俺はどうすりゃいいんだーっ!!!」 「どうしたの?」 ハッとして振り返ると、そこにはクラスメートの加藤 朝日が立っていた。 首を傾げ、啓介を見上げてくる。 「(…黄がよくする仕草と同じだなぁ…。…って、俺また黄のこと考えてるし!!) な、何でもねぇよ。サンキュ」 「私に相談できないこと?」 「…えっ?あー…うーん…」 啓介は顎に手を当て、考える。 「(…ホモだって思われるのもなぁ…でも加藤なら口堅そうだし…どうすっかなぁ)」 「美島くん?」 加藤が顔を覗き込んでくる。 心臓が、跳びはねた。 「(…加藤って、なんか黄に似てるかも…) あ、ワリ…って、俺の名前知ってたのか?」 「勿論だよ…だって…」 加藤が頬を染めて俯く。 脈がどんどん早くなっていった。 「(…それってもしかして…俺のこと…) …なぁ、加藤」 「うん?」 「俺と付き合わねぇか?」 「…えっ…」 啓介は、彼女ができれば、きっと黄を友達として見れると考えた。  加藤は悲しそうに俯き、そして控えめに笑って見せた。 「…うん、いいよ」 啓介はその理由に気付かなかった。 .
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