1.俺ってホント馬鹿。

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  私立緑学園高等部。 ここはどこにでもあるようなごく普通の学校だ。 家から歩きで通える距離にあり、俺はそこに通っていた。 勉強も運動も、容姿までもが普通。 でもそんな俺にだって、好きな人はいた。 二年五組、つまり俺と同じクラスの女の子、加藤 朝日。 艶の良い黒髪をいつも二つ括りにした、笑顔が可愛い女の子。 主立った噂はないけど、影で彼女を狙っている男は数知れず。 まあ俺もそのうちの一人なんだけど。 でも、俺が一番彼女への想いが強いに決まってるんだよ! 天然で、優しくて、いつも笑顔で、気が利くし、真面目だし、頭も良いし、友達もいっぱいいて、その上先生を含めたみんなからの信頼も厚い。 もうとにかく可愛いんだ! だから俺は決心した。 直接は恥ずかしいから、手紙を彼女の靴箱に入れようと! 一晩中考えてやっとできた手紙を、朝一番に来て、加藤の靴箱に入れる。 「…これでよし、と…」 心臓がばくばく言ってる。 加藤は朝早いから、多分すぐ気付いてくれると思うし。 俺はどきどきしながら、教室の自分の席に座って、加藤がくるのを待っていた。 俺を見てどんな顔するかな…。 うわ、顔赤くなってきたっ。
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