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すると、暫くして、加藤が教室に入ってきた。
いつもより早く来ている俺を見て、加藤はいつものあの眩しい笑顔を俺に向けた。
「おはよう、杉島くん。今日は早いんだね」
「あ、うん、まぁ」
加藤はそれだけ言うと、特に変わった様子もなく席に着いた。
俺は首を傾げる。
…あれ?
何でだ?
もしかして、あーゆーこと慣れてんのか?
それとも、冷静を装ってるとか?
…返事、いつくれるんだろ。
何だか不安になってきたが、加藤を信じて待つことにした。
もしかしたら、放課後にかもしれないしな。
「お?何だ黄、今日は早いじゃん」
「へーんだ。俺だってやるときはやるんだよ」
「は?」
親友の啓介が不審そうに俺を見る。
俺はそれに、歯を見せて笑っていた。
「そのうちわかるって!」
「ふーん」
啓介は俺の前の席に座る。
暫く啓介と喋っていると、段々みんな登校してきて、教室が騒がしくなる。
すると、騒がしい教室に、廊下から男子が駆けてきた。
噂流しの太郎だ。
「大変だ大変だ!あの海内ちゃんに、ラブレターなんか渡した馬鹿がいるぞ!」
「え!マジかよ!」
騒がしかった教室が、より一層煩くなる。
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