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「こーおー!!」
「ぐへっ!」
朝起きた第一声が苦しくて出した声なのは生まれて初めてだ。
俺は目の前で、俺を締め付ける美少女を見上げた。
とても嬉しそうな顔だけど、俺は微笑んであげられない。
…つーか。
「何でキミがここにいんの!?」
「何でって、彼女だから?」
「あーもーいいよ…」
俺は頭を掻きながら溜め息をつく。
付き合った初日、つまり昨日も散々なめにあったため、もうどうでもよくなってきた。
俺は広瀬を除けて、起き上がる。
時計を見ると、まだ起きるのには少し早い時間だ。
いつも遅刻ぎりぎりに登校してくる広瀬が、こんなに朝早くから準備を済ませてここにくるなんて、余程頑張って早起きしたんだろう。
…そんなに俺のこと好きってことか。
俺といるときの、凄く嬉しそうな顔を思い出すと、何も言えなくなってしまう。
ホントは加藤に手紙を渡すはずだったことも、広瀬を好きじゃないことも…。
こんな顔されたら、誰だって言えるわけないよな…。
そんなことを考えながら広瀬を見つめていると、広瀬は顔を真っ赤にした。
「もうっ、あたしが可愛いからってそんなに見つめないでよぅー」
「あはは…」
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