2.ここまで振り回されたのは初めてだ。

3/16
前へ
/237ページ
次へ
  自覚してんだ、やっぱ。 俺は立ち上がり、広瀬を見下ろす。 「着替えるから、廊下に行っててくれるか?」 「え、どうして?」 「どうしてって…だから、着替えるからだよ」 「別に廊下に出なくてもいいじゃない」 「よくないだろ!」 常識ってもんがないのか!? 恥ずかしいだろ! 「だってあたし達付き合ってんだよ?裸を見るなんて序の口序の口♪」 「∑うひゃーっ!!/// 女の子がそーゆーこと言うんじゃありません!」 「可愛いーっ!!」 「抱き着くなー!!」 抱き着いてきた広瀬を廊下に放り出し、やっと制服に着替える。 一階に下り、顔を洗ってリビングに入ると、いきなり母さんが駆け寄ってきた。 いつものへらっとした顔で。 「黄ー、まさかあんたにこんな可愛い彼女ができるなんてねぇー。意外とやるじゃないのー」 「あ、お母様、さっきぶりですー」 「さっきぶりー広瀬ちゃん」 「母さん、上がらせんなよ!」 「いーじゃないのー。あんたの彼女なんでしょー?」 「…もー…」 母さんのこののーんびりした喋り方と性格はホント好きになれない。 俺は椅子に座り、トーストをかじる。 広瀬はその隣で、俺を凝視する。  …。 「な、何だよ」
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7886人が本棚に入れています
本棚に追加