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あまりに唐突で、そしてまさかの急展開な告白に、クラスメイト達のざわめきは静まり、教室には静寂がながれた。
何なんだあいつは……突然ドアぶっこわしたかと思えば、転校生だとぉ!?
つか……頭打ってドア吹っ飛ばすとか、最早人間業じゃ無いだろ。
しかし、静寂が続いたのはほんの数秒。
誰からともなく次々と吹き出し、教室はあっという間に爆笑の渦へと巻き込まれた。
「なになに!? 何で皆笑ってんだ!?」
俺は隣で暢気にチョコレートを食っている駿也に尋ねる。
「……たぶん、皆あいつがウケ狙いで、あんなしゃべり方してると思ったんじゃないの?」
俺の方を見ることもせず、駿也は応えた。
そうか……ウケ狙いか。
転校生が一番気にする事──それはおそらく友人関係だろう。
例外があるかもしれないが、少なくとも俺ならそうだ。
なら、必然的に重要となるのが第一印象。
第一印象が“面白い奴"なら、すぐに人気が出てクラスに溶け込めるだろう。
もし、転校生の岩波成がそれを狙って、あんなふざけたしゃべり方をしたなら、掴みは大成功といったところだ。
「先生、何故この方々は笑っておられるのだ? 拙者は何もおかしな事は申しておらぬのに……」
教壇の上で、岩波成が先生に──本当に不思議そうに、そう尋ねた。
再び教室に静寂が戻った。
きっとみんなはこう思っている事だろう。
“素であの喋り方っ!?" ……と。
「はいはい、静かに」
既に静まっている生徒達に向かって、先生が苦笑いを浮かべながら言った。
「とりあえず、うちの組に転入してきた岩波成君ね。詳しくは午後のHRで話すから、みんな仲良くすること」
お決まりのセリフを言った後、教室内を見渡す先生。
おそらく、岩波成の新しい席を決めるのだろう。
「先生、拙者は殺那殿の後ろの席がいい」
迷っている先生をよそに、岩波成がそう言った。
「あらほんと、スペースがあるわね。じゃあ岩波君、殺那君の後ろに机置いといてね」
岩波成の席が決まって一番驚いたのは、おそらく俺だろう。
何故なら“殺那"は──俺の名前だからだ。
岩波成は俺の後ろに机を運び、座った。
直後──。
「殺那殿、拙者はお主を迎えに来た」
岩波成が俺に耳打ちしてきたのだ。
「……は?」
何これ……笑うとこ……?
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