【第一部】第一章†1†

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あまりに唐突で、そしてまさかの急展開な告白に、クラスメイト達のざわめきは静まり、教室には静寂がながれた。 何なんだあいつは……突然ドアぶっこわしたかと思えば、転校生だとぉ!? つか……頭打ってドア吹っ飛ばすとか、最早人間業じゃ無いだろ。 しかし、静寂が続いたのはほんの数秒。 誰からともなく次々と吹き出し、教室はあっという間に爆笑の渦へと巻き込まれた。 「なになに!? 何で皆笑ってんだ!?」 俺は隣で暢気にチョコレートを食っている駿也に尋ねる。 「……たぶん、皆あいつがウケ狙いで、あんなしゃべり方してると思ったんじゃないの?」 俺の方を見ることもせず、駿也は応えた。 そうか……ウケ狙いか。 転校生が一番気にする事──それはおそらく友人関係だろう。 例外があるかもしれないが、少なくとも俺ならそうだ。 なら、必然的に重要となるのが第一印象。 第一印象が“面白い奴"なら、すぐに人気が出てクラスに溶け込めるだろう。 もし、転校生の岩波成がそれを狙って、あんなふざけたしゃべり方をしたなら、掴みは大成功といったところだ。 「先生、何故この方々は笑っておられるのだ? 拙者は何もおかしな事は申しておらぬのに……」 教壇の上で、岩波成が先生に──本当に不思議そうに、そう尋ねた。 再び教室に静寂が戻った。 きっとみんなはこう思っている事だろう。 “素であの喋り方っ!?" ……と。 「はいはい、静かに」 既に静まっている生徒達に向かって、先生が苦笑いを浮かべながら言った。 「とりあえず、うちの組に転入してきた岩波成君ね。詳しくは午後のHRで話すから、みんな仲良くすること」 お決まりのセリフを言った後、教室内を見渡す先生。 おそらく、岩波成の新しい席を決めるのだろう。 「先生、拙者は殺那殿の後ろの席がいい」 迷っている先生をよそに、岩波成がそう言った。 「あらほんと、スペースがあるわね。じゃあ岩波君、殺那君の後ろに机置いといてね」 岩波成の席が決まって一番驚いたのは、おそらく俺だろう。 何故なら“殺那"は──俺の名前だからだ。 岩波成は俺の後ろに机を運び、座った。 直後──。 「殺那殿、拙者はお主を迎えに来た」 岩波成が俺に耳打ちしてきたのだ。 「……は?」 何これ……笑うとこ……?
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