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薄暗い路地裏で、俺は腰を下ろしていた。片膝を立てて、歯を食いしばっている。
頬を伝う涙が、冷たくてくすぐったい。震える体を抱き込みながら、そっともう片方の膝も立てた。
鳴咽を染み込ませ、瞼を押さえる。その俺の耳に、微かに足音が飛び込んできた。
「こんな所にいたのか」
「緑……」
「元気だせよ赤、たまにはミスる事もあるって」
「だからって……黒に助けられるなんて……」
膝を抱える腕に、こもる力が強くなる。
「気にするなよ、まあ、珍しいミスだったからな……青も心配してたぜ?」
確かに、今日の俺は何か変だった。
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