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「はいはい、病院ではお静かにお願いしますよっと」
バガンッ、と病室の扉を蹴り破って入ってきたのは、眼鏡(伊達)に白衣、そして何故か聴診器を首にぶら下げた千鶴であった。
胸に付けてある名札には『超医者』と書かれている。
超ってなんだ、超って。
どこぞの団長のような所行だが、お静かにとか言っておいて扉を破壊しながら入ってくるあたりからすでにもう滅茶苦茶である。
その後ろにはリーゼレッタの姿もあるが、今日はいつものメイドルックではなく、白衣の天使とか言われてたり言われなかっりするナース服であった。
さすがに千鶴と違って羞恥心があるためか俯きながら全身を恥辱に―だろう多分―震わせている。
頬も同様の理由で赤らんでいるのであろうが、残念ながら今はそれさえも相乗効果になってたりなかったり。
「あの~…先輩?リーゼレ」
「━━昌浩様」
呻くような口調で昌浩の言葉を遮って、リーゼレッタが言ってくる。
「言わないでください」
もうとにかく、服装は無視してくれと言わんばかりにリーゼレッタはさらに顔を赤くして、拳を握っていた。
「ん~、やはりアレだな。敢えて嫌がるリーゼに着せるってのがまた乙ですな」
アッハッハ、と笑う千鶴。
ちなみにミヤビは部屋でお留守番である。
もちろんリーゼレッタも留守番を申請したが、どちらかは連れて行くという千鶴の断言の下、壮絶を極めたジャンケン━━あいこの数は三桁に及ぶ━━に敗北し、嫌々ながらも同伴することになったのだ。
「はぁ、じゃあもう気にしない方向で話進めますけど、何しに来たんですか?」
至極真っ当な昌浩の意見に、数秒時間が停止したように固まった千鶴はそこでようやく本題を思い出したのか、ポンと右の拳を左手のひらに置いた。
「そうそう、それですよ。まぁ昌浩の方はもういいとして、敏次の方な」
言われて、敏次の体が固まる。
当たり前だ、自分は今笑っていられるような立場にはいない。
罪は相応に裁かれるべきなのだ。
これは、会議室で言った自分の言葉でもある。
「え~っと…諸尚先生殺害、悪魔との契約、大樹桃香の殺害未遂、藤原彰子の傷害。諸々の罪状があるが間違いないな?」
「間違い、ありません…」
ごめんなさいの一言で許される罪はない。
すべて自分の責任。
「まぁ自分でも分かってるようだが、判決を言い渡す」
持っていた判決表を敏次のベッドに投げて、千鶴は口を開いた。
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