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  「そう喧嘩腰になるな」 「重悟か」 ジャラリと鎖の鳴る音共に、学ランのホックまできっちりと閉じた生徒が角から現れる。 よく見れば昌浩の目の前にいるのも白い学ランを着た生徒だ。 何故刀なんか持っているかは不明だが。 「それの言うことは正しい」 「ふ~ん、しかしまたなんでこんなとこにいるのか。しかもタイミングは最悪だ」 両手両足を不可視の力で縛られているくせに何もないかのように笑う白ランの生徒。 「校長室を探してたんですよ。あの狸人を富士の樹海に置き去りにしやがりましたから、そこはかとなく墓地に埋葬するために」 クツクツと笑う昌浩に、学ランの生徒はため息を吐き、白ランの生徒はニヤニヤと笑った。 瞬間、生じたのは爆音。 昌浩の正面、学ラン白ランの生徒の背後からだ。 もちろん人体の構造上、その姿を視認出来たのは昌浩だけだ。 始めは黒い固まりだった。 五十メートルはあろうか廊下の向こう側から、昌浩たちの方に向かって突っ込んでくるのだ。
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