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「Σギャッ!?
…痛ぁッ…;」
光に気を取られているうちに投げ出されるようにして仁亜は地面に軽く尻を打ちつけた。
よろよろと立ち上がりながら打った尻を撫で、辺りを見回す仁亜。
壊れた建物、遠くで響く爆音、巻き上がる砂埃。
まるで夏休み前、世界史の授業で見た戦争中の風景と重なる。
「(一体ココは…?)」
その途端、轟音と凄まじい揺れが仁亜を襲った。
「ッッー…!?」
あたりに捕まる物もなく思わずその場で頭を抱えしゃがみ込む。
「Σお前っ座っている場合じゃないだろうッッ!!」
「へッ――?」
揺れが治まったかと思えば、いきなり頭上から怒鳴り付けられ反論する暇もなく強引に引っ張りあげられ立たされる。
「もたもたしてないで早く非難しろッ!!」
「…非難って……」
その金色の髪をした少年は帽子を目深く被り直し走り去ろうと身を翻(ヒルガエ)す…が
後ろの方から走ってきた茶髪の少年により腕を掴まれた。
その時
背後のどこかで爆発が起こり、爆風が少年の帽子を吹き飛ばした。
あらわになった顔と、掴まれた頼りなく細い腕、とっさに身をすくめたその仕草――。
「お……おんな…の子?」
茶髪の少年がぽかんと呟くと、相手は例の鋭い目で彼を睨む。
「Σムカッ……なんだと思っ「かッ…カガリ!?
それにッ……キラぁ!?///」
一瞬気まずい雰囲気が漂い少女が少年に食いかかるのを、この仁亜の言葉が遮り、驚いて目を見開いた二人は同時に声をあげた。
「「Σ君(お前)ッ…なんで名前…!?」」
「(さっさすが双子~////)」
なんて感動している間にも続けざまに爆発が起こる。
それにはっと我に帰ったカガリはキラの手を振りほどいた。
「なんでついてくる!?お前はこいつを連れて行けッッ!」
「行け……ったってどこへ?
もう戻れないよ」
さっきの爆発で、来た道は無惨にも崩れ落ちている。
キラは顎に手を当て暫く考えると、いきなり仁亜とカガリの手を取って走り出した。
「こっち!」
「ひゃあ////
(キラの手がぁ!!//)」
「なっ……離せっバカッッ!!」
「Σば…!?」
一人興奮する仁亜の横で悪態をつくカガリにさすがにムッとして、
キラは相手の顔をみた。
だが少女の目にうっすら涙が滲んでいるのに気付き、ぎょっとする。
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