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『恋という名の永遠の戦士』が始まった。
でも、隣に塔谷くんが居て…何だか集中できない。
暗闇の中、塔谷くんを横目で見る。
真面目な顔で映画を見ていた。
大きな目。暗闇の中でもハッキリ分かる大きさだ。
「……………。」
映画よりも塔谷くんの顔見てた方が楽しいかも。
喋らなければ可愛いんだよなー。
「…!!!!?」
私が塔谷くんを見ていると、いきなり塔谷くんが私の方を向いた。
―ドキッ―
か、可愛い!
席と席が近いせいか、かなり顔が近いよ!
塔谷くんは不服そうな顔でスクリーンを指差している。
見ろってことか。
「分かってるよ!」
塔谷くんに小さくぼやきながらもスクリーンを見た。
男の子と女の子が大勢の人の前でキスをしている。
嫌なんだよな、こういう甘ったるいの。
でも、周りから微かにすすり泣く声が聞こえた。
えっ!!!?
ここ泣くとこ!?
「…ぐすっ…。」
えっ!?
塔谷くんを見ると、塔谷くんも軽く目を擦っていた。
あなた、泣いてるの!!?
塔谷くんの隣の結衣を見ると、ボロボロと泣き出している。
「……………。」
これで泣けるんだ…。
『恋という名の永遠の戦士』は、若い子の間で『恋戦』と呼ばれてる映画らしい。
確かに若い子向けの映画かもしれない。
完璧、私に似合わなそうな映画だ。
…んー、眠くなってきた。
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