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――龍一side――
なんだよ、この映画。
涙が危うく出るとこだっただろ!!
つーか、出ちまっただろうがっ!
あぶねえ。
冬月に見られなくて良かった。
さっきは俺の顔、ガン見してたから困ったけど、今は映画に集中してるよな。
冬月も泣いてたりしてなっ。
泣き顔見てやろうかな。
ふっ、と重りが乗っかったみたいにズッシリと肩が重くなった。
重くなった肩を見ると、冬月の顔があった。
「~~~っ!!!!」
なんで寝てんだよ、コイツ!!!!
し、心臓に悪いだろうがっ!!!
はあ…、こんな泣ける場面で寝る神経を疑う…。
冬月は俺の肩に頭を乗せて、爆睡してやがる。
普通なら頭を軽く撫でたり、肩を抱いたりするだろうが
あいにく、俺は撫でれるくらいの身長を持っていない。
背低くて、届かねーんだ。
冬月の顔をチラリと見ると、意外と長いマツゲが目に入る。
顔は、ずば抜けて可愛いとか…特に無い。
目もあんまり大きくないし。
声だって、可愛くない…。
でも、何だかコイツを見てると心が温まる。
コイツを気にかけてしまう。
何でだろうな。
全然可愛くねぇのに。
コイツは俺を嫌いなのに…。
俺だけ気になってるって、不公平だろ。
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