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――スミレside――
「…ん、んん。」
暖かい…。
そして、首がちょっと痛い。
ぼんやりした記憶で目を開けると、映画館のカーテンが閉じられてるスクリーンに目がいった。
「あれ…?
確か…あれ?
もう終わったのかな…?」
私が少し瞳を閉じてる間に映画が終わったのか?
「やっと起きたか…。」
真横から、溜め息混じりの声が聞こえた。
目をやると、塔谷くんだ。
なんでこんなに距離が近いんだっ!!!?
なんで肩に頭を乗っけちゃってるんだ!?
塔谷くんだと分かった瞬間、即座に寝ていた首を真っすぐ立たせた。
「もう映画終わっちゃったの?」
「ああ。帰るぞ。」
映画館内を見ると、お客さんが私たちしか居なかった。
塔谷くんが立ち上がり、塔谷くんの隣の席を見ると、結衣や桐本くんもいない…。
「え!!?みんな、なんでいないの!!?」
お客さんが一斉にトイレに行ったとか!?
トイレ現象、ハンパないな!!!
「…だから、映画終わったんだって。」
「え?」
塔谷くんが飽きれ混じりに言う言葉を聞き返すと、別の方面から声がした。
「あらぁ!やっと起きたのねえ。
彼氏さん、ずっとアンタが起きるの待ってたのよ~♪
優しい彼氏さんねえ♪」
映画館内を掃除している清掃員さんだった。
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