★+。塔谷くんへ。+★

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「…なんでそういう発想しかできねぇかな? 遅いから家まで送ってやるよ。」 塔谷くんが溜め息混じりに私に言った。 送ってやる? なんでそんな面倒くさいことをしてくれるの? 「いえ、いいです。」 「よし、きた!」 手を引かれて、連れてかれる。 というか、意味違うんだけどっ!! ま、いいか。 家の近くでバイバイすれば大丈夫だろうし。 塔谷くんも早く帰りたいだろうしね。 「さっきからズンズン引っ張ってくれてるけど、家分かるの?」 「あ、知らねーや。」 歩き続けてる塔谷くんに聞くと、塔谷くんはハッとしたような顔をして止まった。 「…ぷっ。知らなかったのに、私を引っ張ってたんだ。」 つい可笑しくて、クスクス笑ってしまった。 「うるさい。早く家までの道、教えろよ。」 「分かった分かった。」 笑いながら歩いていると、あっという間に家の近くまで来た。 「もう、ここでいいよ。」 「ここが家なのか?」 近所の人の家の前で止まった。 「ううん、違うけど…近いし、ここで大丈夫だよ。」 「いや、家まで送る。」 私が何回いいと言っても、断固として引かない塔谷くん。 そんな塔谷くんに困っていると、遠くから声が近付いてきた。 「あ、スミレ。 帰ってくるのおせーじゃん。」  
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