★+。塔谷くんへ。+★

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――龍一side―― 誰からか知らない声が入ってきて、そっちを見ると、男だった。 髪は真っ黒でテニスバックを背負っている。爽やかスポーツ系みたいな奴。 しかも、背が高い。 「あ、瑛太。 今帰りなの?」 ソイツは冬月を『スミレ』と呼び、冬月はソイツを『瑛太』と呼んでいた。 どういう仲だ…? 「おう。 スミレもか?」 「うん!!映画観てきたんだ。」 冬月は俺には見せたことないような笑顔を瑛太に向けていた。 コイツは冬月の何なんだ?? 頭の中にイライラとした疑問が浮かぶ。 「映画?何観てきたんだ?」 「んーとね、何か甘ったるい感じのやつ。 途中で寝ちゃったよ。」 「ふーん。 それをこの人と観たの?」 そこでやっと話が俺に振られた。 瑛太という奴は、鋭い眼光を俺に向ける。 「うん!他にも人がいたんだけど、いつの間にか2人になっちゃって。」 困ったように笑いながら冬月は言うが、正直…お前のせいで2人になったと言いたい。 「へえー。友達?」 俺をジロジロと見ながら、瑛太野郎は言ってきた。 『彼氏』と聞かないのは何でだ? 彼氏じゃねーけど、背が低くても男には変わりない。 普通一回『彼氏?』と聞くだろ。 まさか…、コイツ…冬月の彼氏…?  
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