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「ちょっと瑛太離してよっ。」
冬月は瑛太の胸の中でもがいていた。
でも、俺から見たら照れてるようにしか見えない。
…まさか冬月に彼氏がいるなんて考えたこともなかった。
「これからスミレとデートしたいな。
じゃ、俺たちはこれで。」
瑛太は冬月を離すと、肩に腕を回し、俺に言い放った。
そして、冬月を引っ張りながらどこかへ歩いて行ってしまった。
冬月が…彼氏…。
俺はアイツらが遠くに行くまで、ただただ呆然と立っていることしか出来なかった。
だって、あの冬月に彼氏だぜ!!?
有り得ないだろ。
あんな青山ラブみたいな奴に彼氏ラブなんて名乗る資格はねぇ!!
青山ラブだった方がまだマシだ。
「…ちょっと待てよ。」
俺の呼び止めた声は、もういない2人に向かって言っていたが、その言葉も消えてすぐに無くなった。
………帰るか。
映画が終わっても、隆史や青山が一緒に残るって言ってくれたのに、無理矢理帰らせて冬月が起きるのを1人で待ってるなんて…。
それに帰りも何か虚しい気持ちだし…。
あーあ、冬月起きるの待たなきゃ良かった。
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