★+。塔谷くんへ。+★

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「お兄ちゃんっ! お帰りなさい。」 「ただいまー、スミレ。 良い子にしてたかい?」 「うん!良い子にしてた!」 お兄ちゃんは会社員で、今年で20歳だ。 お兄ちゃんが帰ってきたことによって、瑛太を見る予定が頭の中から出ていってしまった。 「そうか、良い子だなー。」 お兄ちゃんは私の頭を撫でてくれる。 やっぱり格好良いお兄ちゃんー。 「うんっ。 お兄ちゃん、今日こそはゆっくり休んでよ。 今日は瑛太と私でご飯作るね。」 お兄ちゃんは仕事帰りでかなり疲れてるはずなのに、いつも私たちのご飯を作ってくれる。 だから、今日くらいはと思って毎日言ってるのに…。 「あぁ、いいよいいよ。 俺作れるからさ。」 軽くそう言うと、ネクタイを緩め、腕捲りをした。 その仕草がスゴく好きだ。 だって、格好良いんだもん!! 一回カメラにおさめたいくらいっ!! そんなこと思ってる場合じゃなかった。 「だ、駄目だよ! いつだってお兄ちゃんが作ってるじゃん! 仕事で疲れてるんだから、たまには休んでよ…。」 「だーいじょうぶだって。 じゃ、軽くチャーハンにするわ。」 そう言うと、台所に足を運んだ。 あぁ、いつもそうだ。 格好良くて優しいお兄ちゃんだけど、1つだけ欠けてるものがある。 彼女がいない。  
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