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なんで彼女がいないのか、と時々よく思う。
「ねえ、お兄ちゃん。
ひとつ聞いていい?」
キッチンでチャーハンを作っているお兄ちゃんに近づき話しかけた。
「ん?なに?」
「なんで彼女いないの?」
単刀直入にお兄ちゃんに聞いた。お兄ちゃんは、私の質問を聞いたと同時に、大きな音でまな板に包丁をぶっ刺した。
「お、お兄ちゃん?」
怖い。怖すぎるっ。
笑いながら、包丁をぶっ刺した兄の顔は、極道の人並みに怖い。
「そんなことどうでも良いだろ。」
悪魔で爽やかスマイルで言う兄。
お兄ちゃん、無理な笑顔やめましょう。
物凄く怖いです。
「あはは、だよねえ。
あはあは…。」
あまりの怖さに顔が引きつる。
「ほら、チャーハンできたよ。運んで運んで。」
お兄ちゃんがチャーハンをお皿によそった。
いつの間に出来たんだ!!
「うん!」
私は元気よく返事をし、チャーハンをテーブルに置いていく。
「おぉ、良い匂い。
今日はチャーハン?」
瑛太がタオルで髪を拭きながら、半袖Tシャツとハーパンできた。
「今できたばっかりだよ!ちょうどだね。」
濡れた髪を拭く姿もいいぞ!
「お、兄貴。帰ってたんだ。おかえりー。」
「ただいま。
部活お疲れ様だな。」
お兄ちゃんはニッコリ瑛太に笑いかける。
…こんなに素晴らしい人なのに、なんで彼女がいないのか益々分からない。
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