君と過ごした愛しい時間

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ゴトン、ガタン、ゴトンという電車の振動が、心地よかった。 電車の窓から見える景色は夕日のせいでオレンジがかっていた。 俺が塾に行くまでの電車の中ですごす、三駅。 約、十五分。その時間で、オレは今日も彼女を見る。 初めは、名前なんて知らなくて、どうして電車に乗るのかも知らなかった。 彼女は俺よりももっと前から電車に乗ってるみたいで、降りる駅は俺と一緒。 多分、タメで十四か年下。 さらっと腰まで伸びた髪の毛に色白の肌。 その髪に、肌に触れてみたいと思うのに時間はかからなかった。 ただ、俺には勇気がなかった。 あんな綺麗な人に、どうやって話しかければいいんだろう? クラスの女子とすら、まともに話せないオレに、あの人と仲良くなれるのだろうか? 神崎緋色(かんざきひいろ)、14の中二、成績は中、趣味・特技はテニスといった、平凡な男子中学生だ。 俺はただ、彼女を見つめていた。
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