君と過ごした愛しい時間

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「でも、莉音(りおん)さんって、本当に綺麗ですよね」 あんな事を思っていたのに、オレは今彼女と普通に喋れてる。 今となっては、彼女の名前も知ることができた。名前呼びまでしてしまっている。 甲本莉音(こうもとりおん)。年は、15歳で俺よりも年上と知ったときはビックリした。 「ありがとう」 俺が綺麗。というと、莉音さんは必ず、「ありがとう」と微笑んで言うだけだった。 一週間前、莉音さんが変なオッサンに絡まれていた。 俺はテニス部だ、身体は小さいが、腕力には自信がある。 オッサンを追い払ったときから、自然に莉音さんと話せるようになっていた。 そのオッサンに、一寸感謝した。 今まで、塾に行くのなんてめんどうくさい、って思ってたけど、この十五分のためだけに俺は塾に行くようになっていた。 莉音さんからはオレに話しかけない。俺から話しかけて始めて反応がもらえる。 莉音さんは、ずっと本をよんでいる。
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