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「マルセイユルーレット!そんなことも出来るのか…」
後藤は言葉を失った。小学二年生があれ程に綺麗なマルセイユをやってのけるとは
驚いていたのは怜も同じだった。
気付いたときには回っていて、目の前からバックの姿が消えていた。
一瞬の間何が起こったのか把握出来ずにいたが、すぐに怜は我に返った。
――そうだ、シュートしなくては――
怜にあっさりと抜かれた二人のバックが自分たちのミスを帳消しにするためか、必死の形相で向かってきていた。
ゴールまでは8m弱くらいだろう。さっきやったシュート練と同じくらいの距離だ。
「狙ってみよう」
怜は自分を信じ、一気に右足を振り抜いた。
後藤は先程の練習のリプレイを見ているような気分だった。
それほど綺麗なゴールだった。
怜の元にサブ組の選手が駆け寄ってきた。
「お前、やっぱ上手いな」
「最高じゃん!あんな綺麗なフェイント、生で見るの初めてだよ」
「今度の大会結構良いとこ狙えるかもな」
みんなは口々に怜を賞賛した。
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