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《8年前》
西暦2028年 怜9歳
怜が小学校に通い始めてから早くも四年目となった。
今年もまた満開の桜の下で元気な黄色い帽子たちが走りまわる時期が来た。
「あいつらはいつでも元気だよな」
拓也は少し落ち込んだ声を出した。
「どうした拓也?何か悩みか?」
怜は拓也とは対照的で、すごく機嫌が良い。
「怜とまた差が開いちゃったからね……俺も早くAチームに昇格しないと」
怜は四年生になると同時に異例のAチーム昇格を果たしたのだった。
一方の拓也はキャプテンになったとはいえ、それはBチームでの話。
いままでは何とか怜の背中に食らいついていた拓也だったが、急に怜の背中が遠のいてしまい、悔しさと寂しさを感じていた。
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