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「あれはキャプテンの菊池さんかな。」
確信はなかったが取りあえず呼んでみることにした。
「あの……菊池さん?」
すると、菊池と思しき人物は一瞬ビクッとして振り返った。
「ビックリした、何だ怜か。
どうした、休まなくていいのか?」
「何かじっとしていられなくて、それでここに来たんです。
菊池さんは何してたんですか?」
菊池はばつが悪そう顔をした。
「国際大会に出るのはこれが最後だろうから、良い結果を出したいんだ。
だけど去年の記憶が蘇ってきてな……」
「去年の記憶?」
「俺は去年もこの大会に出場したんだ。
去年のAチームはかなり強かった。全国ベスト8までいったチームだったから、この大会でも良い結果を出せると思っていた。」
菊池はそこまで一気に話すと
ふーっと大きく息を吸ってこう続けた。
「まさかスペインのチーム相手に一勝も出来ずに終わるなんて思ってもなかった。あいつらは怖いぐらい強いんだ。
情けない話、俺はビビってるんだ。ハハハ……」
菊池は笑っていたが、その声は確かに震えていた。
怜は世界の実力を肌で感じてみたくなった。
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